住宅ローンの繰上返済について考える〜私はしない派〜
どうもこんにちは、TaxOnTheHillです。
このブログでは税理士×FP1級の知識を活かして皆さんに税金や資産運用など、身近なお金に関する情報をお届けします。
住宅ローン金利の上昇を背景に、ここ数回住宅ローンについて疑問に思うことについて自分なりの考え方をまとめてきました。住宅ローンを取り上げるのは今回で一旦おしまい。で、今回のテーマは「住宅ローンの繰上返済」について。
多くの人が「住宅ローンは早く返した方が安心」と思っているかもしれません。気持ちはよくわかります。
ですが、私はこう考えます。
住宅ローンの繰上返済、基本的には必要ないです。というか、しないほうがいいとさえ私は思っています。
その理由を、できるだけわかりやすくお伝えします。
目次
今の住宅ローン金利、めちゃくちゃ低いです
まず真っ先に頭に浮かぶのが超低金利だということ。
最近は利上げのニュースも耳にしますが、実際に住宅ローンを変動金利で借りている方の多くは、金利がまだ0.7~0.8%程度です。この金利って、はっきり言って借金としては破格の安さです。住宅は誰にも必要なもの、だから住宅ローン金利に限ってかなり優遇金利が設けられています。
これだけ低い金利の借金を「とにかく早く返さなきゃ」と頑張るのは、少しもったいないかもしれません。
借りれるもんは借りとけ、です。
そのお金、投資に回せばもっと増えるかも?
前にも書きましたが、仮に繰上返済に使う予定だったお金をインデックス投資など比較的安定した運用に回して、年5%くらいで運用できたらどうなるか?
ローンで払っている金利はせいぜい1%以下。
運用で得られる利回りは5%。
つまり、差し引き4%くらいは資産を増やせるチャンスを逃していることになります。もちろん投資にリスクはありますが、長期運用であれば、繰上返済より合理的な選択肢になる可能性もあります。
住宅ローンという長期戦と長期投資は相性がいいというのが持論です。
忘れてはいけない団信(団体信用生命保険)の存在
住宅ローンを組むときに入る「団体信用生命保険(団信)」、これがまた侮れません。
簡単に言うと、住宅ローン残高に対する生命保険のようなもので、契約者に万が一のことがあった場合、ローン残債がゼロになります。極端な話をすれば、5000万円の住宅ローンを組んですぐに亡くなってしまったとしても、ローンはチャラになります。
なお最近では、
- がんと診断されたら完済になる「がん団信」
- 三大疾病に対応した「三大疾病団信」
- 病気やケガで働けなくなったときの「就業不能団信」
など、かなり手厚い保障がついている団信も増えています。
繰上返済をすると、ローン残高が減っていく=保険金額も減るということ。
つまり、繰上返済をするほど“保険”としての機能も弱くなるという点は見逃せません。
高齢でローンを組んだ方、一括返済は特に注意!
高齢で住宅ローンを組んだ方ほど、退職金などで一括返済するのは慎重になるべきだと思います。
というのも──
退職金を使ってローンを完済してしまうと、
- 団信の保障がなくなる
- 手元に現金が残らない
- 老後資金が一気に“家”に変わってしまう
といったリスクがあります。
もし完済した直後に大きな病気が見つかったら?
もう保険もないし、現金もない。これは本当に厳しい状況です。
高齢になると、キャッシュインフロー(収入)はどうしても減ります。かといって、月々の返済が鬱陶しいからといって一括返済してしまっては本末転倒だと思います。
そんな中で、現金をしっかり確保しておくことの安心感はとても大きいです。
ローンを抱えたままでも、団信があれば家族に家を遺せますし、毎月の返済も少額ならそこまで生活を圧迫しません。
「細く長く払いつつ、余暇や趣味、医療・介護の備えにお金を回す」
こういう考え方のほうが、老後はむしろ豊かになるかもしれません。
神制度〜住宅ローン控除〜 繰上返済の時には一度立ち止まって考えて欲しい
私の体験談です。
住宅ローン控除(正式には「住宅借入金等特別控除」)の制度を活用して、私は10年間、毎年20万円近くの税額控除を受けていました。
当時の制度は以下のような内容でした:
- 控除期間:10年
- 控除率:ローン残高の1%(上限2,000万円)
- 私の金利:だいたい0.7%くらい
ローン残高は2000万円台だったのですが、これを一気に1000万円とか返済しなくてよかったということです。何が言いたいかというと、払っている利息よりも税金の戻りの方が多いという「おいしい」状態だったんですね。
ところが、知識が足りなかった私は、繰上返済をどんどんしてしまい、ローン残高が控除上限の2,000万円を下回ってしまいました。20万円近く、というのはそういうことです。
結果として、後半は税額控除の恩恵も目減り。これはちょっと後悔しています。
住宅ローン控除との関係では、上限を割り込むような繰上返済は厳禁です。
今は制度が少し変わって、
- 控除率:0.7%
- 控除期間:原則13年(条件付き)
- 残高上限:住宅の種類で異なる(一般住宅なら3,000万円など)
となっており、たとえば金利が0.75%のローンでは、控除のメリットは薄いかもしれません。
でも、それでも「確実に戻るお金」があるのは貴重ですし、制度を知っているだけで得する部分も多いんです。
まとめ:ローンは“信用力”。キャッシュを味方につけよう
私は繰上返済をしてしまったことを、正直ちょっと後悔しています。
もし当時の自分にアドバイスできるなら、
「そのお金、ローン返済じゃなくて、投資に回したら?」
ですね。
以前から言ってますが、ローンは「負債」であると同時に、自分の信用力で得た“資金調達の手段”でもあります。
- サラリーマンなら、将来に備えた投資や急な出費のために
- 自営業・フリーランスなら、自分のビジネスに再投資する原資に
- 高齢者なら、医療・介護・旅行や趣味などに使える資金に
住宅ローンは“資金力”です。このブログを読んだ皆様は、これからは資金力をうまく使い、賢くお金と付き合っていけるんじゃないでしょうか。
ということでこの記事がこれから家を買う人、住宅ローンを抱えている皆様の参考になれば幸いです!
参考過去ブログ
〜住宅ローンと投資の関係についてはこちらの記事を
〜我が家の住宅ローン金利が上がった話はこちらの記事を
〜住宅ローンを組むときの頭金について考えた記事はこちら


